2/15「帰ってきた!Laboratorio141-4431」がスクエア荏原で開催です!

2/15は、スクエア荏原で重厚な男声合唱を聴きませんか?

声楽家の石井一也さんが代表をつとめられる「Laboratorio141」。集まるのは、現代日本音楽界を支える男性声楽家の皆さんです。

人生をかけて磨き抜かれた声が集結し、心をあわせてひとつの音楽を奏でる──。こうした貴重な音楽体験に触れられることは、人生の中でも貴重な機会なのではないでしょうか。

昨年スクエア荏原で、万全の感染予防対策のもと開催された「Laboratorio141-4431 【再】ka:i」では、演奏が進むにつれて会場が熱気の渦につつまれていきました。終演後、大きな喝采がホールを包んだのは忘れられません。

今回は信長貴富 作曲 男声合唱とピアノのための「Fragments ─ 特攻隊戦死者の手記による ─」をはじめ、大岡信 作詞/鈴木輝昭 作曲 男声合唱とピアノのための組曲「ハレー彗星独白」など4つの男声合唱組曲が取り上げられます。

演奏会に先立ち、代表の石井一也さんからメッセージを寄せていただきました。ご紹介させていただきます。

来る2月15日(火)に、スクエア荏原ひらつかホール(東急池上線「戸越銀座」駅 徒歩10分)で、「帰ってきた!Laboratorio141-4431」と題しました男声合唱の演奏会を開催します。この公演は「アートにエールを!東京プロジェクト(ステージ型)」の支援を受けて実施いたします。

さて、このLaboratorio141について簡単にご説明させていただきます。私は東京音楽大学の声楽科を卒業し、東京二期会というオペラ団体に準会員として所属し、主にオペラ公演の合唱や、「メサイア」や「第九」などの宗教曲やオーケストラ付きの合唱曲に出演させていただいたりしております。

そんな中、「プロの声楽家で日本の男声合唱曲の名曲を歌ってみたい」という思いが芽生え、それが具現化したのがLaboratorio(イタリア語で「実験室」)141(イシイ)です。

とはいえ、最初のうちは出演者からあまり理解が得られず、大変なこともありました。「なんでこれだけのプロを揃えて、アマチュアがやるような曲をやるんだ」と言われたりもしました。日本の歌曲や合唱曲を下に見るような風潮は、ちょっと違うのではと悲しく思ったのを覚えております。けれど、選曲については一歩も譲らずに進めました。

ところが、演奏会はかなりの反響をもって受け入れてもらえたのです。

今回も取り上げる信長貴富作曲「Fragments ─特攻隊戦死者の手記による─」を演奏したときのこと、曲の途中で「特攻兵が母親に宛てた手紙」が歌われるのですが、このあたりから会場中からすすり泣く声が聞こえました。演奏終了後も拍手が鳴り止まず、私はあまりのことに一人トイレに籠もって号泣しました。

この時お願いしていたステージマネージャーからも「こんなに胸が熱くなった本番は久しぶりです」というお言葉をいただき、「実験」は成功したと確信しました。

私はこれに気を良くして「Laboratorio141-2」として第二回を企画することになります。出演者にも、聴衆にもある程度受け入れてもらえることがわかったので、さらに濃厚な選曲で。

はい、そこでコロナの登場です。

一昨年の7月31日に第二回を開催予定でしたが、折からのコロナ禍により、開催は不透明でした。しかし、第一回の緊急事態宣言が明けた6月、なんとか開催の目途が立ったので、稽古を開始したのでした。

この時期は緊急事態宣言は明けたものの、ほぼすべての芸術活動が止まっている時期でした。そんな中、出演者は感染予防対策をしながら、それぞれがただならぬ決意をもって稽古に臨み、あとは本番を迎えるだけというときに、ある事件が起こりました。

私は一昨年、母校の大学院に学生として通っておりましたが、学生主催の演奏会に大学側から中止要請が出てしまったのです。結局、演奏会は中止せざるをえない状況になり、残念ながら中止の決定をくだしました。

私は意気消沈し、これからしばらく心がすさんでしまいます。このことをきっかけに離れてしまった人もいるのですが、残ってくれた人たちの心の支えもあり、新たに第二回を企画することになります。

自分がやりたい音楽をやるには音楽的にも責任を取れる立場の方が良いということで、新たな第二回から私が指揮を振ることになりました。そして企画当初、まだ学生だったので、主催を副代表の芹澤佳通さんにお願いしました。そこで新たな第二回の題名が「Laboratorio 141-4431」(イシイ ヨシミチ)となった訳です。

私は「なぜ日本の合唱曲しかやらないのですか?」と聞かれた時に、当初うまく答えることが出来ませんでした。しかし、コロナ禍を経た今は少し説明出来るかもしれません。

世界の在り様を変えてしまったこのコロナ禍の中で、日本人の自然を尊び、他者を気遣い、変化に抗わず、調和を好む気質が世界からも少しずつ注目されているように思います。

であるならば、我々日本人を形成する、日本の文化、思想、情感、そしてつらい歴史を歌ったこれらの作品を我々が発信する意味は少なからずあると思うのです。

最後に副代表の芹澤佳通さんに言及しなければなりません。

芹澤さんは多分、そもそも合唱にはあまり興味がなく、最初に誘ったときもあまり乗り気な感じではありませんでした。しかし前述の第一回のあと、何かが変わったようで、以後積極的に関わってくれるようになりました。チラシのデザインも担当してくださり、今回も素晴らしいデザインのチラシになっております。

芹澤さんは一昨年はグランドオペラの『トゥーランドット』カラフ、去年は東京二期会公演『タンホイザー』タイトルロール、東京・春・音楽祭『マクベス』ではフランチェスコ・メーリの代役としてマクダフをリッカルド・ムーティの指揮で歌っております。

そんな人が私の指揮で合唱を歌うって、なかなかシュールだと思いませんか?

芹澤さん以外にも、皆さん合唱を歌われるにはもったいない方ばかりです!

大ホールでひとりでも充分声が通る人たちが、スクエア荏原ひらつかホールで本気で合唱を歌います。これは会場でなければ体感できません!是非、ご来場ください!

熱い思いのこもった演奏会。ぜひ、お運びください。

チケットは全席自由、3,000円です。お申込み・お問合せはkazuya☆keb.biglobe.ne.jp(☆を@に変更ください)まで。

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「帰ってきた!Laboratorio141-4431」

〈日時〉2022年2月15日(火)18時30分開場 19時00分開演

〈会場〉スクエア荏原ひらつかホール

〈プログラム〉

信長貴富作曲/男声合唱とピアノのための組曲「Fragments ─特攻隊戦死者の手記による─」

大岡信作詞 鈴木輝昭作曲/男声合唱とピアノのための組曲「ハレー彗星独白」

大島ミチル作曲/男声合唱組曲「御誦(おらしょ)」

大岡信作詞 木下牧子作曲/男声合唱組曲「方舟」

〈演奏者〉

芹澤佳通 相山潤平 高梨英次郎 岸野裕貴

森田有生 下村将太 長尾隆央 山本雄太

矢野陽義 野村真土 小川陽久 西久保孝弘

寺西一真 的場正剛 岸本 大  鷲尾裕樹

片山将司 加野喬大

アルトソロ 加納里美(男声合唱組曲「御誦(おらしょ)」)

ピアノ 藤井麻理 田邊沙世

打楽器 岩見玲奈 日比彩湖

指揮 石井一也

 

☆前回演奏会から